相続した”売れない田舎の土地”の手放し方──実家とセットにするという裏ワザ

相続の味方|事情別の売却 事情別の売却

相続で不動産を引き継ぐと、価値のある物件(都市部の家やマンション)と一緒に、「どう使えばいいか分からない田舎の土地」がついてくることがよくあります。山林、原野、農地、昔の別荘地——。実家は売れそうだけれど、この田舎の土地だけは、どうにもならない。そんな悩みを抱えている人は少なくありません。

私は、相続物件を買い取る側にいた人間です。これまで300件以上の不動産買取に携わってきました。その経験から、買取業者しか知らない「売れない土地の手放し方」を、この記事でお伝えします。実は、業者の内側を知っていると、意外な突破口が見えてきます。

(相続不動産の売却全般は、別記事「相続した不動産、買取と仲介どっち?」もご覧ください。)

相続不動産の売却全体の流れは「相続した不動産の売却 完全ガイド」にまとめています。

💡 まず「売れる物件」の価値を知ることから

田舎の土地の手放し方は、実は「価値ある物件をどう売るか」とセットで考えると道が開けます。まずは売れる物件の査定から始めましょう。

不動産の無料一括査定はこちら(マンション.navi)

※リンク準備中(提携承認後に有効化されます)

なぜ、田舎の土地は「単独では売れない」のか

まず、現実をお伝えします。田舎の土地、特に山林・原野・農地は、単独ではまず買い手がつきません。 理由は明確です。

  • 買い手そのものがいない(過疎化で、その土地を欲しい人がいない)
  • 使い道がない(住宅を建てるにも不便、事業にも使いにくい)
  • 管理ができない(遠方で草刈りや手入れに通えない)
  • 農地は売買に許可がいる(農地は原則、農家にしか売れず、農業委員会の許可も必要)
  • 山林は災害リスクがある(崩落などのリスクを、買い手が嫌う)

こうした土地は、不動産会社に「売ってください」と持ち込んでも、「うちでは扱えません」と断られることがほとんどです。持っているだけで固定資産税と管理の負担がかかるのに、売ることもできない——これが、相続した田舎の土地の実態です。

買取業者しか知らない突破口:「実家とセットにする」

ここからが、この記事で一番お伝えしたいことです。買取の現場にいたからこそ言える、意外な手があります。それは——価値ある物件(実家など)を売るときに、その田舎の土地も”セットで”引き取ってもらう、という方法です。

なぜこれが成り立つのか。買取業者側の本音を明かします。

正直に言うと、私たち買取業者は、田舎の土地を単独では買いたくありません。 売れないからです。でも、実務ではこういうことが起こります——「この良い物件(実家)を買いたい」と思ったとき、売主側から「じゃあ、この田舎の土地もセットで引き取ってくれるなら売る」と条件を出されるのです。

業者からすると、欲しい物件を仕入れるためには、その条件をのむこともあります。つまり、“売れない田舎の土地”が、”売れる良い物件”にくっついて、一緒に業者へと引き取られていく。私自身、こうして「本当は欲しくない土地」を、良い物件とセットで引き受けたことが何度もあります。

これは、業者にとっては悩ましい話です。でも——相続人であるあなたから見れば、これは使えるカードになります。

つまり、こういうことです。

  • 田舎の土地を単独で「買ってください」と言っても、まず断られる
  • でも、価値ある実家などと一緒に「この土地もセットで引き取ってほしい」と交渉すれば、業者が引き受けてくれる可能性がある

だから、田舎の土地を「これだけ別で処分しよう」と考えるより、価値ある物件の売却と”セットで”相談する方が、手放せる可能性が高まるのです。これは、業者の力学を知らないと出てこない発想です。

それでも難しいときの、他の選択肢

セットでの引き取りが難しい場合や、そもそも価値ある物件がない場合は、次の方法も検討できます。

① 相続土地国庫帰属制度(国に引き取ってもらう)

2023年4月に始まった制度で、相続や遺贈で取得した土地を、国に引き渡す(国庫に帰属させる)ことができます。 農地や山林も対象になり、「売れない土地」の受け皿として注目されています。ただし、条件と費用に注意が必要です。

  • 費用がかかる:申請時の審査手数料が土地1筆あたり14,000円(却下・不承認でも返還されません)。加えて、承認されると10年分の管理費にあたる「負担金」(原則20万円〜、宅地などは面積に応じてさらに高額)を納める必要があります。
  • 要件が厳しい:建物がない、担保権や他人の利用権がない、境界が明確、管理に過大な費用がかかる崖などがない——といった条件を満たす必要があり、申請しても却下・不承認になることが少なくありません。

「国が引き取ってくれるなら」と期待しすぎず、自分の土地が要件に合うか、費用に見合うかを確認したうえで検討してください。申請書類の作成は司法書士に依頼できます。

② 隣地の所有者に譲る・買ってもらう

その土地を買う動機がある最有力候補は、隣地の所有者です。隣の人にとっては、土地を広げられるメリットがある。農地なら近隣の農家や農業法人、山林なら林業関係の法人に打診する方法もあります。

③ 自治体への寄付を相談する

自治体が引き取ってくれるケースもありますが、自治体も使い道のない土地は受け取らないことが多いため、期待しすぎは禁物です。まず相談してみる、という位置づけです。

④ 訳あり物件・売れない土地に強い買取業者に相談する

一般の不動産会社が扱わない土地でも、売れない土地・訳あり物件を専門に扱う買取業者なら、引き受けられることがあります。こうした業者は、独自の出口(活用方法や再販ルート)を持っていることがあるためです。

まとめ

  • 田舎の土地(山林・原野・農地など)は、単独ではまず売れない
  • でも、買取業者は「良い物件を仕入れるために、田舎の土地もセットで引き取る」ことがある。だから価値ある実家などと”セット”で相談すると、手放せる可能性が高まる
  • それが難しければ、相続土地国庫帰属制度(費用と要件に注意)/隣地への譲渡/自治体への相談/訳あり専門業者という選択肢がある
  • いずれにせよ、放置すると固定資産税と管理の負担が続くだけ。早めに動くのが得策

「どうにもならない」と諦めていた田舎の土地も、業者の力学を知って動けば、手放せる道が見えてくることがあります。まずは、価値ある物件の売却とあわせて、複数の業者に相談してみてください。

💡 次の一歩:セットで相談してみる

「実家+田舎の土地」をまとめて相談できる業者を探すのが近道です。訳あり・売れにくい物件に強い業者も含めて、まず無料で相談・査定を受けてみましょう。

相続した不動産・土地の無料相談・査定はこちら(ラクウル)

※対応エリア:東京・埼玉

📌 あわせて読みたい:農地・山林で売れずに困っているなら、農地・山林を相続したら(売れない土地の手放し方)

よくある質問(FAQ)

Q. 田舎の土地だけを、相続放棄することはできますか?
相続放棄は「特定の財産だけ」を選んで放棄することはできず、放棄するとプラスの財産(実家や預貯金など)も含めてすべてを相続できなくなります。田舎の土地だけ手放したい場合は、相続放棄ではなく、売却・国庫帰属制度・譲渡などの方法を検討することになります。

Q. 相続土地国庫帰属制度を使えば、どんな土地でも国が引き取ってくれますか?
いいえ。建物がある、境界が不明、管理に過大な費用がかかる崖がある、などの土地は却下・不承認になります。要件が厳しく、費用(審査手数料+負担金)もかかるため、事前に自分の土地が対象になるか確認が必要です。

Q. 実家と田舎の土地を、別々の業者に売ってもいいですか?
可能ですが、田舎の土地は単独では引き受け手が見つかりにくいのが実情です。価値ある物件とセットで相談した方が、まとめて手放せる可能性が高くなります。

Q. 農地はそのまま売れますか?
農地は原則として農家にしか売れず、農業委員会の許可が必要です。宅地などに転用する場合も許可が要ります。売却のハードルが高いため、国庫帰属制度や、農地に対応した専門業者への相談も選択肢になります。

この記事の書き手について

不動産買取の現場に長く携わってきた宅地建物取引士。これまで300件以上の不動産買取に携わり、その中で、価値ある物件とセットで引き受けた”売れにくい土地”も数多く扱ってきました。仲介業者・弁護士から相続案件の紹介を受け、査定・仕入れ・再販を行ってきた「買い取る側」の視点で、相続不動産の売却を発信しています。なお、制度の要件・手続きの詳細は、法務局や司法書士などの専門家にご確認ください。

タイトルとURLをコピーしました