相続した古家、そのまま売る?解体して売る?──先に壊すと損する理由と判断の3軸

相続の味方|事情別の売却 事情別の売却

相続した古家、「解体してから売る」と決める前に──先に壊すと、100万円以上損することがあります。

更地にした方が売れる、と思われがち。でも解体費は自腹、しかも更地にすると翌年から固定資産税が跳ね上がる。そのまま売った方が得なケースも多いのです。判断のポイントを整理します。

結論(先にお答えします)。

相続した古家付き土地は、「そのまま(古家付きで)売る」か「解体して更地で売る」かで迷います。判断の軸は3つ。①解体費(木造で100万〜200万円ほど。自腹)②固定資産税(更地にすると「住宅用地の特例」が外れ、土地の固定資産税が最大で約6倍に)③売れやすさ(更地は買い手が付きやすいが、古家付きのまま安く売れることも多い)。さらに、相続した空き家なら3,000万円の特別控除が使える場合があり、令和6年の改正で”買主が解体する取り決め”でも適用できるようになりました。つまり自分で解体しなくても特例を狙えるので、「先に壊す」が正解とは限りません。まずは両パターンの査定を取り、手取りで比べるのが確実です。

「古い家は壊してから売るもの」——この思い込みで、余計な出費をしてしまう方が少なくありません。順に見ていきましょう。(空き家の売り方は「空き家は買取で売れるか」にまとめています。)

まず、この2つの勘違いを正しましょう

「更地にしないと売れない」
売れます。古家付き(古家付き土地・現況渡し)でも売れます。むしろ解体費を買主に委ねた方が得なことも。

「解体すれば高く売れて得」
とは限りません。解体費は自腹、さらに更地にすると翌年から固定資産税が上がります。

判断軸①:解体費は自腹(100万〜200万円)

古家の解体は、木造の一戸建てでおおむね100万〜200万円かかることがあります(広さ・立地・アスベスト有無などで変動)。これを売る前に自分で負担するのが「解体して売る」。売却価格が上がってもこの費用を回収できなければ、手取りはむしろ減ります。

判断軸②:更地にすると固定資産税が上がる

【買取の現場から】 見落とされがちなのがこれです。家が建っている土地は「住宅用地の特例」で固定資産税が軽減されています(小規模住宅用地は課税標準が6分の1)。ところが解体して更地にすると、この特例が外れ、翌年から土地の固定資産税が最大で約6倍に。売れるまで更地で持っていると、その間ずっと高い税金がかかります。「解体したのに売れ残る」が最悪のパターンです(放置のリスクは「相続した空き家、放置するとどうなる」)。

判断軸③:税の特例は「買主が解体」でもOKに(令和6年改正)

相続した空き家を売るときの3,000万円特別控除は、以前は「売主が引渡しまでに解体・耐震改修」が要件でした。ところが令和6年(2024年)から、買主が譲渡の翌年2月15日までに解体・耐震改修する場合でも適用できるようになりました。つまり自分で解体しなくても特例を狙えるので、「特例のために先に壊す」必要は薄れています(詳しくは「空き家の3,000万円特別控除【2024年改正】」)。

「そのまま売る」ときの注意:契約不適合責任は”特約”で

【買取の現場から】 古家をそのまま売る場合、契約不適合責任(旧・瑕疵担保責任)を免責する特約を付けて「現況渡し」にするのが、実務では一般的です。古い家の不具合まで売主が保証するのは現実的でないためです。ただし、免責特約があっても、売主が知っていて告げなかった不具合まで免責されるわけではありません(雨漏りやシロアリなど、知っている問題は正直に伝えるのが、結局いちばん安全です)。特約の具体的な内容は、契約前に不動産会社や司法書士に確認しておきましょう。

例えば、こう比べます(モデルケース)

※説明のための一般的な想定です。

A:解体して更地で売る
  売却額 +150万 −解体費150万 −売れるまでの固定資産税増 → 手取りは伸びにくい
B:古家付きのまま売る
  売却額は低めでも、解体費ゼロ・税の増加なし → 手取りで並ぶ/上回ることも

どちらが得かは、立地・古家の状態・買主の需要で変わります。結論は「両パターンの査定を取り、手取りで比べる」のが唯一確実な方法です。

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次にやること(チェックリスト)

古家付きのままの査定額を把握する
解体費の見積り(木造で100万〜200万目安)を取る
☐ 更地にした場合の固定資産税の増加(最大約6倍)を確認する
3,000万円特別控除(買主解体でも可)が使えるか税理士に確認
☐ 「そのまま」と「解体後」の手取りを比べて判断する

よくある質問(FAQ)

Q. 古家付きのままだと、やっぱり安くしか売れませんか?
古家付きは買主が解体費を見込むため価格は下がりがちですが、解体費を自分で負担しないぶん、手取りで見ると並ぶ・上回ることもあります。両パターンの査定で比べるのが確実です。

Q. 解体して更地にすると、税金が上がるって本当ですか?
本当です。家が建つ土地は住宅用地の特例で固定資産税が軽減されていますが、更地にすると特例が外れ、翌年から土地の固定資産税が最大で約6倍になります。

Q. 3,000万円控除を使うには、自分で解体が必要ですか?
令和6年から、買主が譲渡の翌年2月15日までに解体・耐震改修する場合でも適用できるようになりました。自分で解体しなくても特例を狙える道があります。

この記事の書き手について

不動産買取の現場に長く携わってきた宅地建物取引士。これまで300件以上の不動産買取に携わり、その中で相続物件も数多く手がけてきました。仲介業者・弁護士から相続案件の紹介を受け、査定・仕入れ・再販を行ってきた「買い取る側」の視点で、相続不動産の売却を発信しています。なお、解体・税の特例の適用は税理士・専門業者にご確認ください。本記事は制度の一般的な説明であり、個別の税務判断を行うものではありません。

最終更新日:2026年7月7日(空き家3,000万円控除・令和6年改正、確認済み)

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