相続した土地が「再建築できないかも」と言われたら──43条但し書きと、業者で判断が分かれる理由

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相続した土地や家を売ろうとしたら、「この土地は再建築ができないかもしれません」「43条の但し書きが必要です」と言われて、戸惑っていませんか。

こうした土地は、確かに売りにくい。でも、買取の現場を見てきた立場から言うと——「一社に断られたから売れない」と諦めるのは、まだ早いです。なぜなら、こういう土地は業者によって”買う・買わない”の判断が分かれるからです。

私は、相続物件を買い取る側にいた人間です。これまで300件以上の不動産買取に携わってきました。この記事では、「再建築できるか微妙な土地」がなぜ売りにくいのか、そして、なぜ業者ごとに判断が変わるのかを、内側から正直にお伝えします。

(接道・私道の落とし穴全般は、別記事「相続した戸建て・土地、売る前に要注意」もご覧ください。)

相続不動産の売却全体の流れは「売却全体の流れと手順」にまとめています。

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そもそも「再建築できない土地」とは

建物を建てるには、その土地が建築基準法上の道路に2m以上接している必要があります(接道義務)。これを満たさない土地には、原則として建物を建て替えられません。こうした土地を「再建築不可物件」と呼びます。

なぜこんな土地があるのか。接道義務のルールができる前に建てられた家が、後からこの基準に合わなくなってしまった、というケースが多いのです。相続で古い実家や土地を引き継ぐと、こうした「今の基準では建て替えられない土地」だった、ということが実際にあります。

「43条但し書き」は、救済のための制度

ここで出てくるのが「43条但し書き」です。これは、接道義務を満たさない土地でも、一定の条件を満たせば例外的に建築を認める救済制度です。(2018年の法改正で整理され、現在は建築基準法43条2項の「認定(1号)」「許可(2号)」と呼ばれますが、以前の名残で「43条但し書き」と呼ばれ続けています。)

名前に「道路」とつくことがありますが、これは道路の種類ではなく、「例外的に建築を認めてもらう手続き」だと理解してください。特定行政庁が「交通・安全・防火・衛生上、支障がない」と認め、建築審査会の同意を得られれば、建て替えができる可能性が出てきます。

ただし、ここに大きな落とし穴が3つあります。

① 申請しても、必ず認められるとは限らない
基準を満たしていそうでも、敷地の状況や建築計画によっては、同意が得られないことがあります。「申請すれば通る」ものではありません。

② 一度許可が出ても、永続しない
この許可・認定は「その建築行為」に対するもので、建て替えのたびに、その時点の基準で改めて審査を受ける必要があります。「昔OKだったから、次もOK」とは限らないのです。

③ 売却価格が下がり、住宅ローンも通りにくい
将来の再建築に条件がつくため、買い手はこのリスクを嫌います。結果、一般的な土地より価格が下がりやすく、買い手が住宅ローンを組みにくい(金融機関が融資を渋る)という問題も出ます。

だから、業者によって「買う・買わない」が分かれる

ここが、この記事で一番お伝えしたいことです。こうした「再建築できるか微妙な土地」は、買取業者によって判断が真っ二つに分かれます。

私自身の経験をお話しします。ある弁護士から、43条但し書きの手続きが必要な土地の査定を依頼され、調査したことがあります。結論として、私(前の会社)は、建築の許可を取るのに相当な期間がかかると見込まれたため、買取をお断りしました。 許可が下りるかどうかの不確実性と、下りるまでの時間を、リスクとして重く見たからです。

一方で——先日、同業の社長と話したとき、その人は「建築許可が下りる前提で契約した」と言っていました。つまり、「この土地なら許可は取れる」と読んで、その手間とリスクを引き受けて買う業者もいるのです。

なぜこんなに判断が分かれるのか。理由はこうです。

  • 許可が取れるかどうかの”読み”が、業者の経験によって違う(役所との折衝や、その地域の基準に精通しているかで変わる)
  • 許可までの時間・手間を、どこまで許容できるかが業者によって違う(再建築不可を専門に扱う業者は、この手間に慣れている)
  • 出口の作り方が違う(再建築を目指す業者もいれば、リフォームして貸す・現況で使う前提で買う業者もいる)

同じ土地でも、A社は「時間がかかりすぎる」と断り、B社は「許可を取れる」と判断して買う。これは、どちらが正しい・間違っているの話ではなく、業者の得意分野とリスクの取り方の違いなのです。

買える業者は「再建築できるようにする出口」を描いている

なぜ、他社が断る土地を買える業者がいるのか。それは、「この土地を、再建築できる状態にする方法」を頭に描いたうえで買っているからです。

代表的なのが、隣地の活用です。たとえば、間口(道路に接している部分)が2m未満で再建築不可になっている土地なら、隣の土地の一部を買うか借りるかして、間口を2m以上にすれば、接道義務を満たして再建築が可能になります。

だから、こうした土地を買える業者は、「隣に声をかけてみて、一部を譲ってもらえれば再建築できる。おそらく話は動くだろう」と読んで、その手間とリスクを見込んだうえで、採算の合う(=安めの)価格で買うわけです。これが、他社が断る土地を引き受けられる理由の一つです。

ただし、これは簡単ではありません。隣地の所有者が売却・貸与に応じてくれるかは、完全に相手次第です。応じてもらえなければ、この出口は使えません。だから「隣地を活用できそうか」という読みが、業者によって分かれるのです。

「柱一本残せばリフォームできる」という話には要注意

再建築不可物件の話でよく聞くのが、「柱を一本残せば、大規模リフォームで新築同然にできる」という説明です。これから相続物件を売る方に、はっきりお伝えしておきます。これは、うのみにしない方がいいです。

実は、「柱一本残せば建て替えられる」という法律のルールは存在しません。過去の裁判でも、この説明は「法規として存在せず、建築基準法の規定を曲解した言い回しが独り歩きしているに過ぎない」と明確に否定されています。

さらに、2025年4月の建築基準法改正で、状況はより厳しくなりました。 主要構造部(壁・柱・床・梁・屋根・階段)の過半を改修するような大規模なリフォームには、建築確認申請が必要になり、再建築不可物件ではその申請が通らないため、以前できたような”骨組みだけ残す大規模リノベーション”が、実質的に難しくなっています。

もし業者から「柱を残せば新築同然にできますよ」と言われても、それを前提に安心してしまうのは危険です。実際にどこまでの工事ができるかは、必ず役所や建築士に確認してください。

相続でこういう土地を持ったら、どうすればいいか

再建築に条件がある土地を相続してしまったら、次のように進めるのが現実的です。

① まず、役所で「その土地が本当に再建築できないのか」を確認する
「再建築不可」と言われても、43条但し書きの手続きで建てられる可能性があるかもしれません。土地の所在する市区町村の建築を扱う窓口で、現在の基準を確認します。

② 一社に断られても、諦めずに複数社に当たる
前述の通り、こういう土地は業者によって判断が分かれます。1社に「うちでは買えません」と言われても、再建築不可や訳あり物件を専門に扱う業者なら、買い取れることがあります。 諦める前に、複数の業者に査定を出してみてください。

③ 再建築不可・訳あり物件に強い業者を探す
一般の不動産会社より、こうした難しい物件を専門に扱う買取業者の方が、出口を作るノウハウを持っています。だからこそ、複数社に当たって「引き受けられる業者」を見つけることが大事です。

まとめ

  • 接道義務を満たさない土地は、原則として再建築できない(再建築不可物件)
  • 「43条但し書き」は、条件を満たせば例外的に建築を認めてもらう救済制度。ただし①必ず認められるとは限らない ②建て替えのたびに再審査 ③価格が下がり住宅ローンも通りにくい
  • こうした土地は、許可が取れるかの読みとリスク許容度の違いで、業者ごとに”買う・買わない”が分かれる
  • だから、一社に断られても諦めず、再建築不可・訳あり物件に強い業者を含めて複数社に当たるのが正解

「再建築できないかも」と言われると、もう売れないと落ち込んでしまうかもしれません。でも、こうした土地こそ、引き受けられる業者を探すことで道が開けます。まずは複数社に査定を出して、反応を見るところから始めてください。

💡 次の一歩:引き受けられる業者を探す

再建築に条件のある土地は、業者によって評価が大きく変わります。複数社に無料査定を出して、「買い取れる」という業者を見つけましょう。訳あり物件に強い業者も含めて相談するのが近道です。

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📌 あわせて読みたい:同じく住宅ローンが付きにくい家として、違反建築・既存不適格の家は売れる?(住宅ローンが付かない家の出口)

よくある質問(FAQ)

Q. 「再建築不可」と言われた土地は、まったく売れないのですか?
売れないわけではありません。再建築不可や訳あり物件を専門に扱う買取業者なら、引き受けられることがあります。ただし、一般的な土地より価格は下がる傾向があります。一社に断られても、複数社に当たってみることをおすすめします。

Q. 43条但し書きの許可は、自分で取れますか?
手続き自体は可能ですが、必要書類の準備や役所との折衝、建築審査会の同意など、専門的で時間もかかります。個人で進めるより、こうした案件に慣れた不動産会社や建築士に相談する方が現実的です。

Q. リフォームだけならできますか?
再建築不可物件でも、建て替えを伴わない範囲のリフォームは可能なことが多いです。ただし、増改築の扱いになると制限がかかる場合があるので、工事内容によっては事前に役所や専門家に確認が必要です。

Q. 相続した土地が再建築できるか、どこで調べればいいですか?
土地が所在する市区町村役場の、建築を担当する窓口で確認できます。接している道路の種類や、43条但し書きの対象になるかどうかを調べてもらえます。不動産会社に調査を依頼する方法もあります。

この記事の書き手について

不動産買取の現場に長く携わってきた宅地建物取引士。これまで300件以上の不動産買取に携わり、その中で再建築が難しい相続物件も扱ってきました。仲介業者・弁護士から相続案件の紹介を受け、査定・仕入れ・再販を行ってきた「買い取る側」の視点で、相続不動産の売却を発信しています。なお、建築の可否は個別の状況・自治体の基準によるため、実際の判断は役所や建築士にご確認ください。

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