先に結論をお伝えします。
- 底地(借地人に貸している土地)は、地代は入るのに、売ろうとすると意外なほど安くなります
- 第三者に売る場合、相場は更地価格の10〜15%程度が目安。買い手も限られます
- 一番高く売れる相手は、実はその土地を借りている「借地人」です
親から底地を相続した。毎月の地代は入ってくるけれど、固定資産税もかかるし、借地人とのやり取りも面倒——。「この土地、いっそ手放したいけど、いくらで売れるのか」と悩む相続人が増えています。私は不動産を買い取る側にいて、底地や借地の権利関係を数多く見てきました。底地がなぜ売りにくいのか、そしてどう手放すのが一番得なのかを、買取側の視点でお伝えします。
(借地人側(借りている側)の話は「相続した借地権マンション、売れる?」もご覧ください。)
相続不動産の売却全体の流れは「売却全体の流れと手順」にまとめています。
そもそも「底地」とは(貸している土地の所有権)
底地とは、借地人に貸している土地の所有権のことです。土地は地主(あなた)のもの、その上に建つ建物は借地人のもの、という状態の「土地の部分」を指します。
底地を持っていると、地代(土地の賃料)が入ってきます。でも、いいことばかりではありません。
- 土地を自由に使えない(借地人が建物を所有して使っているため)
- 固定資産税・都市計画税は、地主が払う(地代収入と相殺すると、手元にほとんど残らないことも)
- 借地人とのやり取り・管理の手間がかかる(更新、承諾、地代の交渉など)
「地代は入るが、自由に使えず、税金と手間はかかる」。この中途半端さゆえに、相続をきっかけに底地を手放したいと考える人が多いのです。
なぜ底地は「売ると安い」のか
底地を売ろうとすると、多くの人が「こんなに安いのか」と驚きます。理由は、買い手にとって使い勝手が悪いからです。
第三者(投資家など)が底地を買っても、その人も土地を自由には使えません。借地人がいる限り、得られるのは地代収入だけ。だから買い手は「地代でどれだけ利回りが出るか」でしか価値を判断せず、第三者への売却価格は、更地価格の10〜15%程度が一般的な目安になります。しかも、こうした特殊な権利を扱える買い手自体が限られます。
だから、底地は「持っていれば地代が入る資産」なのに、「売ろうとすると急に安くなる」という、独特の性質を持っているのです。
【相続税との逆ザヤに注意】 やっかいなのは、相続税の評価と実際の売値がずれる”向き”です。底地の相続税評価は「更地価格 ×(1−借地権割合)」で計算され、借地権割合が60%なら更地の約40%として課税されます。ところが第三者への実勢売却価格は更地の10〜15%程度。つまり「相続税は高めの評価額で課され、売ろうとすると実勢はもっと安い」という逆ザヤが起きやすく、納税資金の準備で苦しむことがあります。底地を相続したら、評価額と実勢価格の”両方”を早めに把握しておくことが大切です。
底地を手放す3つの方法(図解)
底地(貸している土地)を売りたい
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借地人に売る 底地+借地権を 第三者(専門
同時に売る 買取業者)に売る
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一番高く売れる 更地並みの価格 更地価格の
(更地の50%前後)(ただし配分で 10〜15%が目安
│ もめやすい) (早い・確実)
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借地人に買う意思 借地人の協力が 借地人と関わらず
があれば理想 必要 すぐ手放せる
① 借地人に売る ── 一番高く売れる
底地を最も高く買ってくれる相手は、その土地を借りている借地人です。借地人が底地を買えば、土地と建物の権利がひとつにまとまって「完全な所有権」になり、地代も承諾料も更新料も不要になる。自由に建て替え・売却できるようになるので、借地人にとってメリットが大きい。だから借地人への売却は、更地価格の50%前後と、第三者に売るよりずっと高くなるのが一般的です。まず借地人に買う意思があるか、が最初の検討ポイントです。
② 底地と借地権を「同時に売る」 ── 更地並みだが、もめやすい
地主(底地)と借地人(借地権)が協力して、両方まとめて第三者に売る方法です。買主は完全な所有権の土地を手に入れられるため、更地に近い価格で売れます。ただし——売却代金を地主と借地人でどう分けるかで、もめやすい。借地権割合(路線価で50〜80%が多い)に沿って分けるのが一般的ですが、「貸している土地なんだから自分の取り分が多いはず」と考える地主と、借地人の間で対立が起きがちです。
③ 第三者(専門買取業者)に売る ── 安いが、早くて確実
借地人に買う意思がなく、同時売却の協力も得られない場合は、底地を専門に扱う買取業者に売る方法があります。価格は更地の10〜15%程度と下がりますが、借地人と交渉せず、すぐに手放せるのが利点です。底地は一般の不動産会社では扱えないことが多いので、底地・借地に慣れた専門業者に相談することになります。
買取側から見た「底地を高く売るコツ」
買い取る側にいたからこそ言える、底地の価値を左右するポイントがあります。
- 借地人との関係が良好か:関係がこじれていると、借地人への売却も同時売却も難しくなり、価値が下がります。日頃の関係が、いざ売るときの選択肢を広げます
- 契約書がきちんと残っているか:地代・更新の条件が明確な契約書があると、買い手が評価しやすくなります
- 地代が適正か:戦後から据え置きの安すぎる地代のままだと、収益性が低く見られ、価値が下がることも
こうした要素で、同じ底地でも評価は変わります。だからこそ、底地に慣れた業者を含めて、複数社に査定を出すことが大切です。
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最後に、買取側にいた私から一つだけ
底地を相続すると、「地代は入るけど、税金と手間もかかるし、売ろうにも安い」と、扱いに困る方が多いです。でも、底地には底地の「一番いい手放し方」があります。
繰り返しになりますが、底地を最も高く買ってくれるのは、たいてい借地人です。 だから、いきなり安い金額で第三者に売ってしまう前に、まず「借地人に買う意思があるか」を探るのが、損をしないための鉄則です。そして、借地人との交渉も、底地と借地権の同時売却も、権利関係に慣れた業者が間に入るかどうかで、結果が大きく変わります。
底地は、権利が複雑なぶん、扱い慣れた業者とそうでない業者とで、査定額に大きな差が出ます。 「貸している土地なんて二束三文」と諦める前に、底地・借地に強い業者を含めて、複数社に査定を出してください。あなたの底地の、一番いい手放し方が見えてきます。
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📌 あわせて読みたい:農地・山林など売りにくい土地は、農地・山林を相続したら(売れない土地の手放し方)。
よくある質問(FAQ)
Q. 底地は売れますか?
売れます。ただし、借地人がいるため買い手が限られ、第三者への売却価格は更地価格の10〜15%程度が目安と、安くなりがちです。最も高く売れる相手は、その土地を借りている借地人です。
Q. 底地を一番高く売る方法は?
借地人に売る方法です。借地人が底地を買うと完全な所有権になりメリットが大きいため、更地価格の50%前後と、第三者に売るより高くなるのが一般的です。まず借地人に買う意思があるか確認するのがおすすめです。
Q. 借地人が買ってくれない場合はどうすればいいですか?
底地と借地権を同時に第三者へ売る方法(借地人の協力が必要)や、底地専門の買取業者に売る方法があります。専門業者なら借地人と交渉せずに手放せますが、価格は下がる傾向があります。
Q. 底地は相続税でも問題になりますか?
底地は相続税評価額の対象になり、評価額と実際の売却価格に差が出ることがあります。納税資金として底地を売る場合は、評価と実勢価格の両方を把握する必要があるため、税理士など専門家に相談することをおすすめします。
この記事の書き手について
不動産買取の現場に長く携わってきた宅地建物取引士。これまで300件以上の不動産買取に携わり、底地・借地など権利関係の複雑な物件も数多く見てきました。仲介業者・弁護士から相続案件の紹介を受け、査定・仕入れ・再販を行ってきた「買い取る側」の視点で、相続不動産の売却を発信しています。なお、底地の評価・相続税・借地契約の具体的な判断は、弁護士・税理士などの専門家にご確認ください。

