相続した不動産を売ろうと思っても、「何から手をつければいいのか」「どういう順番で進むのか」が分からず、止まってしまう人は多いです。
私は、相続物件を買い取る側にいた人間です。これまで300件以上の不動産買取に携わってきました。この記事では、相続した不動産が買取で売れるまで、実際にどういう流れで進むのかを、買取業者の目線でお伝えします。
そして、あわせて知っておいてほしいのが、買取業者の”時間の裏側”です。ここを知ると、「なぜ早く動いた方が得なのか」が、はっきり分かります。
(買取と仲介で迷っている方は、まず「相続した不動産、買取と仲介どっち?」もご覧ください。)
相続不動産の売却全体の流れは「相続不動産の売り方の全体像」にまとめています。
💡 流れの出発点は「査定」から
売却の第一歩は、今いくらで売れるかを知ること。まずは無料査定から始めましょう。
※リンク準備中(提携承認後に有効化されます)
相続不動産が売れるまでの、大きな流れ
まず、全体像をつかんでおきましょう。相続した不動産を買取で売る場合、おおまかにこの順で進みます。
↓
STEP2 遺産分割協議で「誰が引き継ぐか」を決める
↓
STEP3 査定を受ける(協議と並行可)
↓
STEP4 売買契約を結ぶ
↓
STEP5 相続登記(亡くなった方 → 相続人へ名義変更)
↓
STEP6 決済・引き渡し
STEP1:相続人を確定させる
亡くなった方の戸籍をたどって、誰が相続人かを確定します。ここで想定外の相続人が判明することもあります。(詳しくは「兄弟・複数人で相続した不動産の売り方」で解説しています。)
STEP2:遺産分割協議で「誰が引き継ぐか」を決める
遺言書がなければ、相続人全員で話し合い、その不動産を誰が相続するかを決めます。これを書面にしたのが遺産分割協議書で、相続人全員の実印と印鑑証明書が必要です。
STEP3:査定を受ける
不動産会社に査定を依頼し、いくらで売れるかを把握します。ここは協議と並行して進めることもできます。
STEP4:売買契約を結ぶ
買取業者と価格・条件が合意できたら、売買契約を結びます。
STEP5:相続登記(名義変更)
亡くなった方の名義のままでは、最終的な引き渡しができません。相続人の名義に変更する登記が必要です。(登記の手続きそのものは司法書士の専門分野です。ここは専門家に依頼するのが一般的です。)
STEP6:決済・引き渡し
残代金を受け取り、物件を引き渡して完了です。
ポイントは、契約(STEP4)はできても、決済(STEP6)には相続登記(STEP5)が済んでいる必要があることです。名義が亡くなった方のままでは、引き渡せません。ここを段取りよく進められるかで、売却のスムーズさが変わります。
ここからが本題:買取業者の”時間の裏側”
さて、ここからは、買取業者の内側にいた人間だからこそ話せる、「時間」の話です。これを知ると、なぜ早く動くべきかが腑に落ちます。
買取業者は「短期の借入」で買っている
多くの買取業者は、物件を仕入れるとき、1年程度の短期の借入を使います。自己資金だけでなく、銀行などから借りたお金で買うわけです。当然、借りている間は金利がかかり続けます。
そして、買った物件は、リフォームして再販します。その工程を時間で分解すると、こうなります。
- リフォーム期間:おおむね2〜3か月
- 再販して、買主のローン準備が整うまで:おおむね2か月
これらを見込むと、仕入れてから売り切るまでに使える期間は、長くても7か月程度。1年の借入の中で、それだけの時間で回さなければならない、というのが買取業者の現実です。
だから「相場が変わるリスク」を常に抱えている
この7か月という限られた時間の中で、不動産の相場が動くリスクを、業者は常に背負っています。仕入れたときは高く売れると見込んでいても、数か月後に相場が下がれば、利益が飛ぶ。だから業者は、その時々の市況を感じ取りながら、慎重に価格を出すのです。
査定価格には”賞味期限”がある
ここが、売主であるあなたに一番知ってほしいことです。
多くの人は、「一度出してもらった査定価格は、いつまでも有効」だと思っています。でも、実際は違います。買取業者の査定価格には、”賞味期限”があります。
なぜなら、業者は短期の資金で、限られた期間内に回さなければならないから。そして、市況は動くから。だから——査定を受けたあと、相続人どうしで揉めたり、手続きが長引いたりして時間が経つと、その値段では買えなくなることがあるのです。「前は○○万円と言っていたのに」と思っても、市況が変わっていれば、同じ金額は出せません。
これは、業者が意地悪をしているわけでも、約束を破っているわけでもありません。市況の変化と、業者が背負っている時間の制約による、避けられないことなのです。
だから「早く・段取りよく」動くことが、そのまま得になる
買取業者の時間の裏側を知ると、結論はシンプルです。相続不動産の売却は、早く動いた人ほど得をしやすい。
- 相続人どうしの話し合いが長引けば、その間に市況が変わり、査定価格が下がることがある
- 空き家を放置すれば、建物が傷んで価値が下がる(「空き家、放置するとどうなる?」で解説)
- 手続きを後回しにすると、いざ売るときに一から段取りし直しになる
逆に、相続人の合意を早めにまとめ、査定を受け、段取りよく進めれば、一番良い条件で売り抜けやすい。時間は、相続不動産の売却において、味方にも敵にもなります。
「まだ先でいい」と思っているうちに、条件は静かに悪くなっていく。だからこそ、まずは今の価値を知るところから、早めに動き出すことをおすすめします。
💡 まず今の価値を知ることから始める
「売る」と決める前でも大丈夫。まず無料で査定を受けて、今いくらで売れるのか、相場を把握しておきましょう。それが、良い条件で売るための第一歩です。
※対応エリア:東京・埼玉
📌 あわせて読みたい:相続人で分けて受け取るなら、換価分割──売って現金で公平に分ける方法。
よくある質問(FAQ)
Q. 相続登記が終わっていなくても、売却を進められますか?
査定や、買主との契約交渉は、相続登記の前でも進められます。ただし、最終的な決済・引き渡しには相続登記が済んでいる必要があります。査定だけ先に受けて、並行して手続きを進めるのが効率的です。
Q. 査定を受けてから、実際に売るまで、どのくらいかかりますか?
相続人の合意や書類の準備状況によって大きく変わります。話し合いや手続きがスムーズなら数か月で完了することもありますが、揉めたり相続人が多かったりすると、半年以上かかることもあります。時間がかかるほど、査定価格が変わるリスクもあるので、段取りよく進めることが大切です。
Q. 一度もらった査定価格は、いつまで有効ですか?
明確な期限が決まっているわけではありませんが、市況の変化や物件の状態によって、時間が経つと価格が変わることがあります。特に相続で手続きが長引くと、当初の価格が出せなくなることもあるため、査定後は早めに判断するのがおすすめです。
Q. 何から始めればいいですか?
まずは相続人の確定と、遺産分割の話し合いを進めつつ、並行して不動産の査定を受けるのがおすすめです。物件の価値が分かると、相続人どうしの話し合いも進みやすくなります。
この記事の書き手について
不動産買取の現場に長く携わってきた宅地建物取引士。これまで300件以上の不動産買取に携わり、その中で相続物件も数多く手がけてきました。仲介業者・弁護士から相続案件の紹介を受け、査定・仕入れ・再販を行ってきた「買い取る側」の視点で、相続不動産の売却を発信しています。なお、相続登記など登記手続きの詳細は、司法書士などの専門家にご確認ください。
